ラプンツェル
Rapunzel


昔、ある夫婦が子供が欲しいと思っているのになかなか授かりませんでしたが、とうとうおかみさんが身篭りました。
そんなある日、おかみさんが隣の魔女の庭にあるラプンツェルを食べたくてたまらなくなりました。
取ってはいけないものと分かっていたので、おかみさんはすっかりやつれてしまい、旦那さんは驚いて事情を聞くと、
夕方、旦那さんはこっそり隣の庭に忍び込み、一掴みのラプンツェルを抜いておかみさんの所に持って帰り、
おかみさんに食べさせてあげました。

ところがそのラプンツェル、本当においしかったので翌日には前日の三倍も食べたくなりました。
旦那さんはまた忍び込みラプンツェルを抜こうとすると、目の前に魔女が立っていて、今までの悪事がばれてしまいました。
激怒する魔女を恐れ旦那さんが事情を説明すると、
魔女はおかみさんが生んだ子供をくれるなら好きなだけ持ってってもいいよ、と言いました。
月日が経ち、おかみさんが子供を生むと魔女がすぐやってきて、その子に"ラプンツェル"と言う名前を付けて連れてってしまいました。

ラプンツェルが十二歳になると魔女は出入り口の無い上のほうに小さな窓がある塔の中に閉じ込めてしまいました。
魔女がその塔の中に入りたいときは、塔の下に立って、決まってこう叫びました。


「ラプンツェル、ラプンツェル! お前の髪を下ろしておくれ」


ラプンツェルは金を紡いだような、美しく長い髪をしていました。
その声を聞くとラプンツェルは髪をほどいて窓から下ろし、魔女はそれをつたって登ってくるのでした。

そんなある日、若い王子がこの塔の近くを通りかかった時、塔の上でラプンツェルが立っているのを見ました。
王子はラプンツェルの所に行こうとしましたが、塔には出入り口がないので行けませんでした。しかし、暫くその前を通ううちに、魔女がその塔に登っていく一部始終を見てしまい、
夕方、魔女が居なくなったのを見計らって塔の下で例の言葉を叫び、ラプンツェルのもとへ行きました。
最初、ラプンツェルは驚きましたが、王子のことを好きになり、暫くの間二人は楽しく過ごしました。
魔女はこの事に気付きませんでした。

 ところがある日、ラプンツェルがこんなことを言い出しました。


「ねぇどうしてかしら おばあさんを引き上げるのは若い王子様よりずっと重いのよ」


すると魔女は怒って彼女の髪を切ってしまい、荒地に追い払いました。
その晩、いつもどおり王子がやってきて、魔女は切ったラプンツェルの髪を下ろしました。
登っていった王子は上にいたのが魔女だと分かったとき、魔女は王子にこう言いました


「もうお前のラプンツェルは居ないよ!」


王子は絶望して窓から身を投げました。命は助かりましたが、失明してしまいました。
王子は目が見えないまま森の中をさまよい、ラプンツェルを想って泣くばかりでした。
そんなある日、王子はラプンツェルが居る荒地に辿り着きました。
二人は再会し、ラプンツェルの涙が王子の目にかかると、王子はまた目が見えるようになりました。
そして王子の国に帰って二人は幸せに暮らしました。